青色申告と白色申告の違いを解説!必要な手続や節税効など
フリーランスの方、副業をしている会社員の方など、確定申告を行う必要がある方は青色申告と白色申告のいずれかの方法により申告手続を行う必要があります。
「青色申告は面倒」「白色申告は簡単」などと、ざっくりとしたイメージは持たれているかもしれませんが、ここで具体的な手続内容や節税効果の違いなどを整理していきましょう。
確定申告について
そもそも確定申告とは、1年間の所得を税務署に申告する手続のことです。所得の内容をまとめ、所得税を計算した書類を提出します。そしてその申告内容に対応した所得税を納付する必要があります。
申告対象になる期間は1月1日~12月31日ですが、申告期限はその翌年の3月15日までです。社会情勢に応じて期限が延ばされることもありますが、通常、毎年3月15日までに行わないといけません。
所得税の納付についても同日までに行う必要があります。
確定申告は青色申告と白色申告のどちらかで行う
確定申告をする方法として、「青色申告」と「白色申告」があります。
青色申告は1年間における取引の内容を詳細に記録し、所得情報を細かく記載して行う申告方法です。確定申告までの手間が増え、日々行う記帳、作成すべき書類なども増えてしまいますが、その分節税効果が大きいという利点があります。
白色申告は簡易な確定申告方法です。
帳簿等の書類作成など、手間があまりかからず、作業負担が小さいです。その反面節税効果はあまり得られず、所得が大きな場合にはあまり推奨されない申告方法ともいえます。
それぞれの特徴を踏まえ、具体的な違いを以下に示していきます。
青色申告では申請が必要
青色申告と白色申告の違いとして、「申請の必要性」が挙げられます。
青色申告をするためには、事前に青色申告承認申請書を税務署に提出していなければなりません。また、その前提として開業届の提出も済ませている必要があります。
3月15日までに申請を行うことで、その年における確定申告を青色申告にて行うことが可能となります。
一方、白色申告でいい、という場合は申請などの手続を行う必要はありません。
青色申告では記帳方法が複雑
所得の内容を正確に申告するためには、日々の記帳が欠かせません。
その「記帳方法」にも違いがあります。
青色申告では、一般的に「複式簿記」により記帳を行います。白色申告では「単式簿記」でかまいません。
複式簿記のほうが会計知識を求められ、日常的な経理業務の負担は大きくなります。
また、仕訳帳や総勘定元帳、その他売掛帳や買掛帳などの作成も必要です。
この事務的負担が増すことで、従業員のいない個人事業主の場合などには業務の妨げとなるリスクが高まります。
とはいえ、「記帳は必ず自分でしないといけない」ということでもありません。税理士などに外注することもできますし、簿記検定2級、少なくとも3級程度の知識を持っていれば、会計ソフトも利用しつつ自身で対応することもできるでしょう。
なお、白色申告のときの「単式簿記」については会計・簿記の知識はほとんど必要なく、家計簿のような感覚で収支情報を記載していくことができます。
青色申告では提出書類が多い
青色申告を行うとき、「確定申告書」の作成と提出を行うことはもちろん、貸借対照表と損益計算書からなる「青色申告決算書」の作成と提出も必須です。
また、特定の控除を適用させるときには、各種控除に関する書類も提出します。
譲渡所得も発生しているときは確定申告書の第三表、赤字申告をするときは確定申告書の第四表も作成します。
これに対し、白色申告では「確定申告書」と「収支決算書」、各種控除に関する書類を提出すれば良く、決算書の作成は不要です。売上と必要経費が集計された書類を提出すれば足ります。
青色申告では節税効果が大きい
手続面などでは白色申告のほうが利点は大きいといえますが、節税効果で大きな差がつきます。青色申告では税制優遇の措置がとられており、白色申告より税負担を小さくすることができます。
青色申告でできること | 節税の効果 |
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青色申告特別控除の利用 | ・複式簿記+e-Taxによる電子申告で最大額の65万円が控除可能 ・複式簿記+電子申告以外による申告で55万円の控除 ・単式簿記に基づく申告で10万円の控除 |
青色専従者給与の | ・白色申告では、家計をともにする家族に対する給与は86万円までしか経費計上できない ・青色申告では、所定の手続を行い「青色専従者」となることで、給与を全額経費計上することができる ※青色専従者には、その年で15歳以上になること、その年で半年を超えて従事すること、学生でないことなどが求められる |
赤字を3年間繰り越せる | ・青色申告では、赤字を3年間まで繰り越すことができる 例:ある年に600万円の黒字を記録しても、昨年に500万円の損失が発生していれば、その年の所得は100万円にすることができる |
30万円未満の固定資産は | ・白色申告では、10万円以上の固定資産には減価償却による処理が求められる ・青色申告では、30万円未満の固定資産なら一括で経費計上ができる |
経理業務の負担は、外注等により解決することができます。外注コストに関しても、税制上の優遇措置が利用できることを考えれば高い費用対効果が得られると考えられます。
そのため税理士の活用も視野に入れて、「青色申告と白色申告のどちらで確定申告を行うのか」を検討すると良いでしょう。