個人事業主が税理士に確定申告を任せるメリットとデメリット
確定申告は自分ですることもできますが、申告書を作成したり添付書類を準備したりするのに大きな手間がかかります。また、前提として日々の仕訳なども済ませておかなければいけません。
しかし、こういった確定申告に係る一連の作業は、税理士に依頼することも可能です。費用の負担が生まれてしまうのはデメリットといえますが、それ以上に、ここで紹介するような多くのメリットが期待できます。
確定申告を依頼するメリット
確定申告に関して税理士に頼れば、申告にかける時間や労力を少なくすることができますし、適切な方法で節税対策を講じることもできます。また、依頼先によっては資金繰りや経営に関するサポートも任せられるなど、多くのメリットが得られます。
税務にかける時間・労力が少なくなる
確定申告に係る作業を依頼すれば、次の観点から事業者自身の負担を軽減することができます。
- 証憑の収集や整理をしてもらえる
→ 領収書や請求書など、各種書類を整理するだけで時間がかかるが、税理士事務所の方でこれらの作業を代行してもらえる。 - 効率的な税務処理
→ 確定申告までには所得や税額の計算、各種控除の適用など、複雑な処理が必要とされるが、業務として税務申告に対応している税理士ならこれらの処理も正確かつ迅速に行うことができる。 - 税制改正への対応
→ 税法は頻繁に改正されるため、古い情報を基に計算・申告をしていては申告ミスが生じやすい。税理士に任せておけば法改正まで事業者自身で追う必要がなくなる。
節税効果アップが期待できる
節税を狙うには税法に精通している必要があり、誤った知識で対処してしまうと脱税になるおそれがあります。しかし税法の専門家である税理士なら、適法に、節税効果を高めることができます。
節税対策に躍起になることなく、脱税を疑われるリスクを回避することも大事であると覚えておきましょう。大きなミスがあると後々税務署からの調査を受け、加算税・延滞税が課されることでかえって税負担が重くなってしまうこともあるのです。
資金繰りや経営に関わる相談ができる
税理士は税務に関する専門家ですが、事業者の取り扱うお金全般にも理解を持っています。
もし依頼先が経営知識も豊富な税理士であれば、資金繰りに関する相談、経営の相談もすることができますので、確定申告の時期以外においても広くサポートを受けることができるでしょう。
その他のメリット
顧問契約を交わし日常的に税理士を活用することで、確定申告はもちろん、日々の記帳についても代行してもらえます。
記帳を着実に進めておけば確定申告の時期に慌てることもありませんし、1年間や数ヶ月分をまとめて処理する場合に比べてミスも少なくなります。
また、顧問税理士がついていることは対外的な信用力の向上につながります。事業者の作成する計算書類等の信憑性が増し、金融機関等に資料を提出した際も「税理士が作成しているから安心・信用できる」と感じてもらいやすいです。
そのほか、税務調査が来た際の対応であったり事業計画書の作成であったり、事業者の手助けとなる多くのサポートを受けることができるでしょう。
「費用の負担」がデメリット
税理士に確定申告を依頼することのデメリットはやはり「費用」です。
事業規模の大きさ、確定申告に附随して依頼する作業内容や範囲によっても具体的な金額は異なります。
例えば記帳代行や年末調整、税務相談などにも対応してもらうならその分支払うべき報酬は大きくなりますし、売上規模が数百万円なのか、数千万円なのか、数億円なのか、によっても金額は変わってくるでしょう。
ただし費用に関して単純にデメリットと考えるべきではありません。なぜなら、税理士を活用することで人件費など別のコストが少なくて済むこともあるためです。そこで税理士への依頼によって増えるコストと削減されるコストのバランスを考えることが重要になってきます。
税理士の活用が向いている方
「所得が極端に少ない方」「経費などお金の出入りがほとんどない方」などは税額の計算も比較的簡単で、場合によっては確定申告の義務が課されないこともあります。そこで、これらの事情に加えて税務の知識を持っているといった場合は、無理に税理士を活用する必要はないでしょう。
しかし、事業者の方はもちろんそうでない一般個人の方でも、所得の種類(給与所得や事業所得、不動産所得など)が多い場合は処理が複雑になりやすく、税理士に依頼するメリットも大きくなります。税務の専門知識を持たないまま確定申告に対応してもミスが生まれやすいのです。
また、「確定申告に向き合う十分な時間が確保できない方」「節税効果を最大化したい方」「税務調査に不安がある方」なども税理士の活用が適しています。