税務調査では何が行われる?調査の種類や特徴、対応方法について解説
「税務調査」とは、納税者の申告内容をチェックして適正な納税が行われているかどうかを調査する手続きのことです。
当記事では税務調査について説明し、具体的にどのようなことが行われているのか、また、調査の種類やそれぞれの特徴についても紹介していきます。
税務調査で行われること
税務調査には、後述するように種類がありますが、いずれにしても最終的な目的は「公平な課税」や「税収を適切に確保すること」にあります。
その目的を果たすために納税義務者が提出した申告書をチェックし、その他添付書類なども精査して、申告した内容が正しいかどうかを評価します。
提出書類の確認だけで済むこともあり、この場合は納税者が特段しないといけない対応はありません。しかし実際に納税者のもとへやってきて詳しい調査が実施されるケースもあります。このときは、調査官から質問を受けたり資料の提出を求められたりしますので、誠実に対応しないといけません。
税務調査の種類
税務調査の種類は大きく①任意調査と②強制調査に分けることができます。
このそれぞれについてどのような特徴があるのか、どのような違いがあるのかを整理していきます。
任意調査について
「任意調査」は税務調査の一般的な形態であり、実施される税務調査の大半はこちらに該当します。
任意調査の特徴は次のようにまとめることができます。
- 納税者の同意に基づいて行われるのが原則
※ただし、実質的には拒否は難しい。 - 税務署職員が実施する
- 事前に電話などで通知がなされる
具体的には帳簿や証憑類の確認が行われ、調査官が気になった点について納税者に質問が行われたりもします。
個人や規模の小さな事業者であれば1日で終わることも多いですが、規模が大きくなってくると2,3日の期間を要するケースもあります。
調査の範囲に関しては、通常、直近の3年分の申告内容が対象ですが、問題が見つかった場合は最大7年まで遡って調査される可能性があります。
強制調査について
「強制調査」は、脱税の疑いが強い場合に行われる調査であり、「査察調査」と呼ばれることもあります。
強制調査の特徴は次のようにまとめることができます。
- 国税局査察部(マルサ)が調査官として担当する
- 裁判所が発行する令状に基づき調査が行われる
- 納税者の同意とは関係なく強制的に実施される
- 事前通知なく突然やってくる
結局は強制調査でも申告内容の正確性を調べるのが目的ですので帳簿や証憑類をチェックすることになりますが、資料が押収されるなど調査が強行されるのが任意調査にはない大きな特徴です。
単なる申告ミスなどで強制調査の対象となる可能性は低いですが、脱税ともとれるような行為があり、その規模が億単位と大きな場合には注意が必要でしょう。
もし調査の結果、脱税が確認されたときは刑事告発されることもあります。
税務調査の事前通知を受けたときの対応
税務署から税務調査に関する連絡を受けたときは、まず過去の申告内容を見直しましょう。必要に応じて修正申告を行うことも検討しなくてはなりません。
自ら進んで正しい税額を納付することには「付加税の軽減」というメリットもあります。
たとえば、申告ミスに基づいて過少申告加算税や延滞税などのペナルティを受けることもあるのですが、その負担の大きさは不足額の大きさだけでなく納付までのスピードによっても変動するのです。
できるだけ早く対応し、早く正しい申告を行うことで余計な税負担を回避することにつながるということを覚えておきましょう。
また、税理士への相談・対応依頼も進めると良いです。
税理士にも動いてもらうことでより円滑に自主的な調査が進められるようになり、計算ミスなどにも気づきやすくなります。
実地調査時の質問対応にも適切に対処してもらえ、安心して調査期日を迎えることができるでしょう。
税務調査の対象になりやすいケース
税務調査の対象となるかどうか、明確な判断基準は公開されていません。
しかしながら、傾向として以下のケースに該当する場合には確率が高くなると考えられます。
- 取引先が提出した支払調書との内容に差異がある
- 業界平均と比して、売上に対する経費の割合が高すぎる
- 売上が急激に増加している
- 副業による大きな収入がある
- 現金取引が特に多い業種である
- 顧問税理士がついておらず自ら申告書を作成している
- 税務調査で指摘を受けた経歴を持っている など
もちろん、これらの特徴に該当しなくても税務調査の対象になることはあります。
申告の際は、将来的に税務署から調べられる可能性があることも考慮して、間違いが起こらないよう慎重に対処するようにしましょう。