事業規模を縮小する目的・シチュエーションや進め方について
会社の経営が思うようにいかないとき、あるいは将来を見据えて事業の方向性を見直すときなどに事業規模を縮小することがあります。経営判断として前向きに選ぶこともあれば、やむを得ず選択せざるを得ないこともあるでしょう。実際のところどのような目的で事業規模縮小が行われているのか、そしてどのように進めることになるのか、ここで説明していきます。
企業が事業規模を縮小する主な目的
規模を小さくする理由は企業により異なりますが、どのようなシチュエーションで行われるのか、いくつかのパターンを見ていきます。
赤字から脱却を目指すケース
売上が伸び悩んでいると、人件費や家賃などの固定費が重くのしかかり赤字状態が続くこともあります。
この場面で事業を縮小し固定費を削減することで、損益分岐点を下げ、少ない売上でも黒字化できるように目指します。
たとえば、複数の店舗を持つ小売業が不採算店舗を閉鎖して採算の取れる店舗に集約したり、製造業が工場の稼働ラインを減らして人員を適正化したりするケースが考えられます。
主力事業に注力するケース
手を広げすぎた結果経営資源が分散し、どの事業も中途半端になってしまっている状況下で、状況を改善するために事業を戦略的に縮小するケースもあります。
利益率の低い事業や将来性の乏しい事業から撤退し、もっと強みを発揮できる主力事業に人材や資金を集中させることが目的です。この場合、特定の分野での競争力を高めることも重要な目的になってくるでしょう。
たとえば、本業の製造業に加えて飲食や不動産など複数の事業を展開していた会社が、本業に回帰して経営資源を集中させるといったケースが考えられます。
拡大路線の見直しが必要なケース
事業を拡大していく戦略を取った結果、設備投資や人員採用が過剰になり、現在の市場環境や需要などに見合わない状態になってしまうこともあります。この問題を是正して適正な規模に戻すことを目的に取り組むケースもあるでしょう。
たとえば、景気の良い時期に設備投資や店舗拡大を進めたものの、その後の需要減少や市場環境の変化についていけず、維持コストだけがかさんでいるような状況が挙げられます。特に固定費の大きい事業では、早期に規模を調整する必要があります。
事業承継に伴い縮小するケース
現経営者自身の経験やノウハウに頼って維持してきた事業に関しては、後継者が上手く引き継げるかわかりません。また、後継者の能力に不安があるケースもあるでしょう。このように、事業承継に伴って事業縮小を進めるケースも考えられます。
事業をスリム化することで引き継ぎの手続きは進めやすくなりますし、経験の浅い後継者でも経営しやすくなります。
事業規模の縮小はどうやって進める?
事業を縮小していく際は、場当たり的に取り組むのではなく、計画的に実行していきましょう。このとき意識しておきたいポイントをいくつか取り上げていきます。
現状を把握して課題を整理する
最初にやるべきことは、会社の現状を把握することです。
各部門や商品ごとの売上と利益、お金の流れ、人員の配置状況などを数字で表現するなどして見える化を進めましょう。何が利益を生んでいて、何が足を引っ張っているのかを客観的に判断できるようにするためです。
分析を進めることで、漠然と感覚だけで捉えていたものでも具体性をもって評価できるようになり、数値目標も立てやすくなります。
縮小のビジョンを具体的に考える
縮小後の会社の姿を具体的に描くことも大切です。今後どんな会社になっていくのか、どの分野で勝負していくのか、というビジョンを明確にします。
その際は以下の事項を検討していくと良いでしょう。
検討事項 | 内容 |
|---|---|
事業の絞り込み | どの商品やサービスに特化するか、撤退する事業の選定基準 |
組織体制 | 部門構成の見直し、人員の適正な配置、必要なスキルの整理 |
財務計画 | 縮小に伴うコスト、削減後の損益予測、資金繰りの見通し |
スケジュール | 各施策の実施時期、完了までの期間 |
関係者への説明
計画策定後、従業員や取引先、金融機関といった関係者にも必要に応じて情報を共有します。
縮小する事業の内容や縮小規模によっては従業員が強い不安を抱くこともあるでしょう。その場合は、なぜ縮小が必要なのか、会社は今後どうなっていくのか、従業員の士気が下がるのを防ぐためにも丁寧に説明を行うことが大切です。
事業縮小で失敗しないためには
事業規模の縮小はとても大きな決断です。
失敗を避けるため、上述の通り計画的に取り組むことが重要ですし、従業員のモチベ―ション維持にも配慮が必要です。
また、縮小により経営を安定させること、収益を安定的に得ることが目標になってきますが、縮小後すぐに成果が出るとは限りません。一定期間は様子を見ながら、計画通りに進んでいるか、想定した効果が出ているかを確認し、必要に応じて修正を加えていく姿勢も求められます。










