宝くじに当選したら確定申告は必要?贈与税や相続税に注意!
宝くじに当選することで大金を得る可能性があります。通常、所得を多く得たときには確定申告を行い、その大きさに応じて納税をしないといけなくなります。所得税が大きくなるとこれに伴い住民税なども大きくなってしまい、翌年の生活費の負担が増してしまいます。
宝くじで得たお金についてはどのように取り扱われるのでしょうか。この記事では宝くじ当選時の確定申告の必要性、その他各種税金の課税可能性についても解説していきます。
宝くじに当選しても確定申告の必要はない
結論からいうと、宝くじに当選しても確定申告を行う必要はありません。
当選金については非課税所得であると定められているからです。
当選金自体は非課税所得
給与所得や事業所得、不動産所得などの所得に対しては、基本的に所得税が課されます。
しかし宝くじの当選金については「非課税所得」、つまり所得税を支払わなくても良い所得に該当します。
このことは当せん金付証票法という法律により定められています。
当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない。
このように宝くじの当選金には所得税を課さないと規定されているため、当選金の金額に関わらず所得税を支払う必要がありません。そして課税対象から外れるため、確定申告についても行う必要がないのです。
また、課税対象となる所得の場合は翌年の住民税の金額に影響を与えますが、非課税である当選金の額が大きくても、住民税への影響はありません。
なお、競馬や競輪などのギャンブルで得た所得については「一時所得」に該当するため、所得税が課されることも合わせて覚えておくと良いでしょう。
購入時にすでに税金は支払われている
宝くじの当選金に所得税は課されませんが、宝くじの販売価格には税金がすでに含まれています。そのため購入時には意識せず税金を支払っていることになります。この点、当せん金付証票法第16条に定められています。同条には、“宝くじの販売者は、売上金から当選金や手数料などを差し引いた残額を「収益金」として各都道府県に納めなければならない”といった規定が置かれています。
そして、この「収益金」を充てることのできる事業は地方財政法によって規定されており、宝くじを発売する団体により決定されます。
充てることのできる事業としては、公共事業や国際化推進事業、地方博覧会等事業、高齢化少子化対策事業などがあり、実際にどのように使われたのかは、宝くじ公式サイト「収益金の使い道と社会貢献広報」にて確認可能です。
ちなみに令和3年度には、宝くじの販売実績額8,133億円の37.5%に当たる3,048億円が、収益金として全国の都道府県および20指定都市へ納められています。
宝くじの使い方次第で課税されることがあるため注意
宝くじの当選金は、所得税については非課税となることを解説しましたが、その使い方によってはその他の税金がかかるケースがあります。
誰かにあげる場合は「贈与税」の課税
高額当選したとき、当選金の一部を家族や友人など第三者にあげることもあるかもしれません。そのとき注意しないといけないのが「贈与税」です。
贈与税は、“贈与された側”に納める義務が課されます。そのため宝くじに当選した人ではなく、当選金を譲り受けた人が支払わないといけません。
1月1日から12月31日までの1年間で110万円を超える金額を贈与した場合に贈与税が発生し、贈与額の10~55%を贈与税として納税しなければなりません。
逆に言えば、1年間の贈与額が110万円までなら贈与税は課税されませんので、贈与をする場合は110万円を1つの基準として考えてみると良いでしょう。
死亡まで持ち続けた場合は「相続税」の課税
「相続税」についても注意が必要です。
宝くじに当選して当選金を受け取った人が、当選金の全部もしくは一部を使わないまま亡くなった場合、相続により家族等に財産が渡ることになります。その際、相続税は課税されます。
残された当選金についても現預金や不動産などの財産と同様に相続財産を構成し、課税の対象になります。贈与税と同じく、相続財産の価額が高額であるほど、納めるべき相続税も高額になります。
宝くじの当選金の受け取り自体に関連して税金の申告を行う必要はありません。しかし贈与をしたときや、相続開始まで相当の額を残していたときには、申告の作業が必要になることがあります。