提出した確定申告書に誤りがあった場合の対処法
なんとか確定申告を終えたものの、冷静になってチェックし直してみると誤りがあったことに気が付くケースもあります。
「もう申告書を出してしまったから何もできない」ということはありません。ここで対処法を紹介しますので状況に応じて適切な手続をとっていただければと思います。
確定申告後も訂正は可能
「確定申告をした後でも正しい内容で申告をし直すことは可能」ということを覚えておきましょう。
提出した申告書の内容が本来の税額より少なかった場合も多く申告してしまった場合も、期限を過ぎてしまっている場合でもできることはあります。
逆に、誤りに気付いたまま放置することは避けましょう。本来より多く申告してしまっているときは、納めた所得税が一部返ってきますし、少なく申告してしまっているときはペナルティとして附帯税の納付が必要となります。修正が遅れるほどその負担は大きくなってしまいますのでできるだけ早めの対処が重要といえます。
なお、正しい内容を税務署に伝える方法として以下3つが挙げられます。
訂正申告 | 修正申告 | 更正の請求 |
---|---|---|
確定申告の期限内 | 確定申告の期限後 | |
訂正を施した確定申告書を提出すれば、後に提出した方が有効となる。 | 本来の税額より少なく申告してしまっていたケースで行う。 | 本来の税額より多く申告してしまっていたケースで行う。 |
対処法①訂正申告を行う
確定申告は、通常、申告対象になっている年の翌年2月16日~3月15日までが期限です。この期限内に間違いに気づき正確な値での申告ができるときは、「訂正申告」として申告内容を上書きします。
この時点で申告の期限は過ぎていませんので、多く申告していても少なく申告していてもペナルティはありませんし、同じやり方で訂正ができます。
また、「訂正申告」といっても通常の確定申告書をもう1度行えば良いだけですので、特別な書式の申告書を用意する必要はありません。確定申告では最後に提出された申告書が正式なものとして扱われるためです。
ただし控除証明書など資料の添付が必要なケースでは訂正後の確定申告とともにその資料も提出しないといけません。
対処法②修正申告を行う
3月15日を過ぎてしまっている場合であって、本来より少ない税額で申告をしてしまっているときは、「修正申告」を行います。
修正申告においても使用する書式は同じで、確定申告書「第一表」および「第二表」を作成し直します。
※2021年分までの修正申告では「第五表」が使われていたが、2022年分以降は廃止され、第一表・第二表を使うことになった。
同じ書式は使用しますが、第一表上部にある「〇〇申告書」の部分に「確定申告書」ではなく「修正申告書」と記載をしましょう。また、種類の欄も「青色」などではなく「修正」にマルを付けます。
そのほか収入金額等・所得金額等などの各記入欄は通常の確定申告同様に正しい値を入れていきますが、税金の計算欄下部にある修正申告の記入欄には「修正申告前の税額」および「本来の納めるべき税額との差額」を記載します。
不足した本税と附帯税も納める
修正申告をするということは以前納めた税額では足りていなかったということですので、その不足分を納めないといけません。
また、その本税だけでなく、正しく納税できていなかったことや納税が遅れてしまったことを理由に附帯税が発生してしまいます。
一般的には「延滞税」、税務調査後の対応だと「過少申告加算税」が問題になると思われます。
※申告自体していなかったときは「無申告加算税」、財産を隠すなど悪質な行為があったときは「重加算税」が課される。過少申告加算税<無申告加算税<重加算税の順に負担が重くなる。
修正申告に伴う納税 | 負担額 | |
---|---|---|
本税 | すでに納めている税額との差額。 | |
附帯税 | 延滞税 | 納付期限翌日から2ヶ月を経過する日まで年2.4%の割合。2ヶ月を経過した日以後は年8.7%の割合が適用される。 ※2024年中の延滞税の割合。 |
過少申告加算税 | 新たに納めるべき税額の10%相当額。 ※納税額が大きいときは部分的に15%の税率が適用される。 ※税務署の調査を受けてから修正申告をした場合に発生。 |
対処法③更正の請求を行う
確定申告の期限後であって、多めに税額を申告していたときは「更正の請求」を行います。
更正の請求をするには「更正の請求書」を税務署に提出する必要があります。過少に申告していた場合と違い納税義務は果たせていますので加算税や延滞税などのペナルティは当然発生しません。ただし「申告期限から5年以内」という期限がありますので、気付いたタイミングで早めに対処するようにしましょう。
請求後は内容の審査が行われ、その内容が正当と認められたときは「減額更正」が行われます。請求者にはその更正内容が伝えられるとともに、納め過ぎていた税額分が還付されます。
正確な計算は税理士に依頼を
訂正申告や修正申告、更正の請求をする際は、再度計算ミスが起こらないよう十分気を付けてください。還付される金額が変わってくることもありますし、完納時期が遅れることで附帯税の負担が重くなってしまうリスクもあります。そのため少しでも計算方法や申告方法に不安があるときは税理士にご相談ください。