自分で確定申告する場合のメリット・デメリットとは?
個人事業主やフリーランス、副業収入がある方などは確定申告を毎年行う必要があります。確定申告に関して税理士に依頼するケースも多いですが、すべて自分で対応することも法的に問題はありません。実際、自分で確定申告をすることで得られるメリットも存在します。ただ、自分で対応する場合のデメリットについても考慮しないといけません。
そこで当記事では「自分で確定申告をしようか、それとも税理士に依頼しようか」と悩んでいる方に向けて、自分で確定申告をする場合のメリットとデメリットを紹介します。
自分で確定申告するときのメリット
まずは自分で確定申告を行うことで得られるメリットを3点挙げます。
費用がかからない
メリット1つ目として「費用がかからない」ということが挙げられます。
税理士に依頼すれば手間が減りますしミスも減ります。良いことがたくさんありますが、何より費用がかかってしまうという難点があります。自分で確定申告をすれば当然費用の負担はかからなくなり、費用ゼロで確定申告ができます。
費用の大きさは依頼先の税理士により異なりますし、依頼する範囲にもよります。申告書の作成のみの依頼であれば数万円~10万円前後が相場です。毎月の記帳からお願いしておけば確定申告関連の作業もスムーズになり、日々の経理業務の負担も軽減されますが、月当たり1万円~3万円ほど費用が発生することになります。
特に、申告すべき所得が小さな場合は依頼費用の負担が割合大きくなってしまいます。このときは申告書の作成にかかる作業量もあまり多くないと考えられますし、自分で対応して費用削減を検討するのも良いかもしれません。
会計の知識が身につく
メリット2つ目として「会計の知識が身につく」ということが挙げられます。
自分で確定申告をするためには、少なからず会計の知識を備えなければなりません。これは自分で対応するケースでネックとなるポイントでもありますが、逆に考えれば会計知識を身に付けるチャンスともいえます。
本業で忙しく、会計について普段学ぶ時間を確保するのは難しいかもしれません。しかし確定申告という法律上の義務を課されていれば、知識を身に付けざるをえません。
新たな知識を身に付けることに意欲的な方であれば、この点がメリットといえるでしょう。
スケジュール管理が柔軟にできる
メリット3つ目として「スケジュール管理が柔軟にできる」ということが挙げられます。
確定申告を税理士に依頼すれば手間もかからず楽をできるのですが、税理士とのやり取りは発生しますし、その際に税理士とのスケジュール調整も発生します。いったん日程の設定をしてしまうと、仕事やプライベートに対する制限がかかってしまいます。
一方、自分ですべて対応するのであれば、自分の好きなタイミングで作業を進めることができます。他人とのスケジュール調整を行う必要がなくなりますので、最低限、確定申告の期限までに申告書等をまとめれば良くなります。
自分で確定申告するときのデメリット
次に自分で確定申告を行うことにより生じるデメリットを3点挙げます。
手間がかかる
デメリット1つ目として「手間がかかる」ということが挙げられます。
確定申告をするためには、必要な書類や情報を収集する必要がありますし、計算や書類の作成、申告などの手続に時間を費やすこととなります。会計ソフトを導入するのが一般的になってきていますが、それでも確定申告の作業負担がゼロになるわけではありません。
自分で確定申告をするのであれば、それ相応に手間がかかることは覚悟する必要があるでしょう。
専門知識が不足していると難しい
デメリット2つ目として「専門知識が不足していると難しい」ということが挙げられます。
確定申告に手間がかかるとしても、それが単純作業であれば大きな課題にはならないかもしれません。なんとか時間を確保すれば問題は解決します。
しかし実際は専門知識が必要な作業であり、一切経理や会計、税務についての知識を持たない方だと上手く申告ができないリスクが高まります。そうなると時間をかけたからといって適切に申告ができるとはいえず、終わりの見えない作業になってしまいます。
控除や特例の適用、特に節税対策を講ずるのであれば、より高い専門性が必要となり税理士等のサポートが欠かせなくなります。
ミスが生じやすい
デメリット3つ目として「ミスが生じやすい」ということが挙げられます。
とりあえず確定申告書の記入欄を埋めて提出する、ということが目標ではありません。法律上、正しい所得の内容を申告することが義務付けられており、ミスが含まれた申告をしてしまうとペナルティを課されるリスクがあります。申告内容にミスがあるということは、納付する所得税についても間違った金額になってしまっているということです。
本来納めるべき額より小さく申告していた場合、不足分にペナルティ分も加算して納めることになります。逆に、本来納めるべき額を超えて納付している場合も損をしてしまいます。
法律上の義務を果たすため、そして自分自身の損失を生まないためにも、ミスはできるだけ起こさないようにすべきです。税理士に頼まず対応するとミスの発生確率は高くなりますので、よほど自身のある場合を除いてできるだけプロに依頼することが望ましいといえます。
メリット・デメリットを比較して対応を考えよう
確定申告を自分ですることのメリット・デメリットは下表のようにまとめることができます。
確定申告を自分でするメリット | 確定申告を自分でするデメリット |
---|---|
費用がかからない | 手間がかかる |
会計の知識が身につく | 専門知識が不足していると難しい |
スケジュール管理が柔軟にできる | ミスが生じやすい |
自分で対応すべきかどうかは、メリットとデメリットを比較して考えると良いです。総合的に評価したとき、人によってメリットが大きくなることもあれば、デメリットが大きくなることもあります。
傾向としては、申告内容が複雑であるほど、所得等の規模が大きいほど自分で確定申告をするデメリットが大きくなるといえるでしょう。
一方で、比較的所得が大きくなく複雑な処理を必要としない場合でも、依頼費用がその分低くなる傾向にあるため、一概に自分でするメリットが大きいとも言い切れません。