還付申告とは? どんなケースにできるのか、手続の流れや期限について解説
確定申告をしている方や会社員で年末調整をしている方でも、「還付申告」により払い過ぎた税金を取り戻すことができるケースがあります。
確定申告などに比べてあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、納税で損をしないためには還付申告に関する知識も持っておくことが大切です。
この記事で還付申告の概要を説明していきますので、還付申告とは何か、どんな場合にできるのか、手続はどうやって進めるのか、ここで整理していきましょう。
還付申告とは
還付申告とは、“納め過ぎた所得税の還付を受けるための手続”のことです。
確定申告義務者の場合、毎年課税所得の内容を申告していることかと思われます。しかしその内容が必ずしも正しいとは限らず、払い過ぎていることが発覚するケースもあるのです。このような場合には、還付申告を行うことにより納め過ぎた分を取り戻すことができます。
確定申告書の提出義務がない方でも同様です。
多くの会社員の方は、普段、給与等から所得税額は源泉徴収されていると思いますが、その所得税額が正確でない場合にはその旨申告することで還付を受けることができます。
年末調整との違い
源泉徴収されている所得税額と本来の所得税額とのずれを修正する作業と言えば、「年末調整」を思い浮かべるのではないでしょうか。
実際、源泉徴収される額は年間所得の予測に基づいて行われます。そのため年間所得が確定できる年末にその調整が行われ、それを年末調整と呼んでいます。
しかし年末調整では一部の控除適用につき処理することができません。
「医療費控除」や「住宅ローン控除」「雑損控除」「寄附金控除」などを適用させられる場合、その結果還付が受けられるのなら、自分で還付申告を行う必要があるのです。
還付申告ができるケース
上に挙げた医療費控除や住宅ローン控除を適用させる場合以外にも、“年の途中で退職して年末調整を受けていないケース”には還付申告ができる可能性があります。
ただ、当然ながら所得税の納め過ぎがなければ還付は受けられません。また、同じ年に転職した場合には新しい職場でまとめて年末調整してもらえるため、その場合には自ら還付申告を行うことなく所得税の納め過ぎを解消できます。
個人事業主でも、「予定納税」をしており、かつ確定申告をしなくて良くなったケースでも払い過ぎがあるのなら還付申告ができます。
※予定納税とは、前年の税額等を基に計算した予定納税基準額に対応する税額をあらかじめ納める制度のこと
他にも様々なケースで還付申告を行うことがあります。例えば次のような場合でその可能性が出てきます。
- 一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
- マイホームに特定の改修工事をしたとき
- 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)
- 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
- 特定支出控除の適用を受けるとき
- 多額の医療費を支出したとき
- 特定の寄附をしたとき
- 上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき
還付申告の期限
所得税を納めてすぐに払い過ぎに気が付くとは限りません。
その事実が発覚した時期があまりに遅いと、還付を受けることはできなくなります。
とはいえ確定申告の期限のように短い期間が指定されているわけではありません。確定申告は毎年2月16日から3月15日までに申告をしなければなりませんが、還付申告は翌年1月1日から起算して5年間なら還付申告書を提出することが認められています。
例えば令和4年分に関する還付を受けようとするのなら、令和5年1月1日~令和9年12月31日までが還付申告の期限ということになります。
確定申告より期限が長いだけでなく、確定申告ができる時期より早い、2月15日以前でもできるという点で特徴的でもあります。
還付申告の手続概要
還付申告の手続はそれほど複雑ではありません。確定申告に似た流れで、次のように申告ができます。
- 還付申告の必要書類を集める
- 確定申告書に「所得額」「所得控除額」の記入をする
- 確定申告書の記載に従い税額を計算する
- 確定申告書に「税額控除」の記入をする
- 確定申告書に「還付先」の記入をする
還付金の受け取りは、ゆうちょ銀行または郵便局での直接受け取り、その他指定の口座に振り込みを指定して受け取ることが可能です。
口座への振り込みを求める場合、口座情報を確定申告書に記入しておかなければなりません。
還付申告に関する手続の詳細、必要書類の準備などは、専門家等に相談してみましょう。