起業をサポートする最適な税理士の見つけ方
会社設立の手続きから税務戦略の策定、資金調達に関するアドバイスまで、起業に強い税理士はビジネスの強力なパートナーとなります。
しかし、数多くの税理士の中からご自身に合った専門家を見つけることは容易ではありません。
そこでこの記事では、起業にあたって知っておきたい税理士選びのポイントをご紹介します。
起業時になぜ税理士が重要か
起業時には多くの法的・財務的な決断を迫られます。
特に会計や税務は専門知識が必要な分野であり、誤った判断により後々大きなコストや問題を引き起こす可能性もあります。
税理士は税金の専門家ですが、税金の計算をしたり申告書を作ったりすることだけが役割ではありません。
法人税等の負担を抑えるにはどうすればいいのかアドバイスをしたり、資金繰りのアドバイスをしたり、さらには事業計画の策定にまで対応することもできます。
そのため税理士がついていれば課税の仕組みを踏まえた戦略的な起業をすることができ、資金調達や会計処理もスムーズにいくことで本格的な事業活動にすぐ移行することもできるでしょう。
起業に強い税理士の特徴
税理士をより有効活用するため、起業に強い税理士を探しましょう。
起業に強いかどうかを判断するのは簡単なことではありませんが、以下の点を確認していくことである程度見極めることができます。
会社設立に豊富な経験を持つ
起業に強い税理士であるかどうかを確認する一つの指標が「会社設立や起業支援の実績」です。
過去に何社の起業をサポートしたか、どのような業種の起業を支援した経験があるかを確認しましょう。ご自身と同じ業界での起業支援経験があれば理想的です。
業界に対する知識・専門性がある
IT企業、飲食業、製造業、サービス業など、ご自身のビジネス領域に関する知識や専門性を持つ税理士を選ぶことで、業界特有の税務戦略や会計処理に関する適格なアドバイスを受けることができます。
また、特定の業界に精通していれば補助金等に関する支援も期待できますし、業界の標準的な経営上の指標を熟知している税理士なら自社の現状を客観的に評価し、改善点を指摘することもできるでしょう。
税理士がさまざまな業種の企業と取引をしていることも考えられますが、特にどのような業界の企業と取引が多いのか、どの分野を得意としているのか、実際に聞いて確認してみると良いです。
コミュニケーション能力や対応の柔軟性がある
税理士には複雑な業務に対応する専門性の高さも必要ですが、起業者など企業の方が理解できるようわかりやすく丁寧に説明できるスキルも重要です。
専門性がどれほど優れていても、それをわかりやすく伝える能力がなければ起業家にとっての利用価値は半減してしまいます。
この点は実際に面談を行い確認しましょう。また、連絡手段などコミュニケーションの取り方についても要チェックです。
将来を見据えたアドバイスをしてくれる
起業に直接関わる手続き等のサポートのみならず、今後の事業の成長を見据えた長期的なアドバイスの提供が受けられることも重要です。
資金調達、事業拡大、将来的な事業承継など、ビジネスのライフサイクル全体を考慮した提案ができる税理士だと理想的です。
特に成長志向の強い企業にとっては重要なチェックポイントです。
税理士を探す方法
税理士を探す方法としては次のような例が挙げられます。
- Webで検索する
・・・もっとも一般的で簡易な探し方。税理士検索サイトや比較サイトを利用すれば、地域や専門分野で絞り込んで検索することができる。ただし、Webサイトの内容だけで判断せず、実績や口コミ、対応の良さなども含めて総合的に評価することは留意すべき。税理士のブログやSNSも参考になる。定期的に有益な情報を発信している税理士であれば最新の税制改正にも詳しい可能性が高い。 - 税理士会や専門団体からの紹介
・・・各地域の税理士会にて、専門分野や対応可能な地域などの条件を伝えることで税理士を紹介してもらえることもある。公的な団体からの紹介のため、一定の信頼性が担保されるというメリットがある。 - 起業家コミュニティからの紹介
・・・起業家仲間や経営者団体、創業支援機関などのネットワークを活用することも効果的。特に同業種や類似のビジネスモデルで起業した人からの推薦は参考になる。
また、いずれのケースにおいても即決するのではなく一度実際に会って話し合ってみることをおすすめします。
よくある失敗と対処法
起業初期だと「なるべくコストを抑えたい」という気持ちもあるかと思います。しかし税理士費用の安さだけで選ぶべきではありません。
また、税理士という肩書き、事業所から近いというだけで選び、その専門分野や経験を確認せずに選ぶことも避けるべきです。
起業に欠かせない最低限の手続きには対応してもらえても、創業計画書の作成や資金調達など、ビジネスを成功させるためのより充実した支援が受けられない可能性があります。
そこで、実績等についてWeb上で調べるとともに、初回相談は無料としている税理士事務所も多いため直接会ってその税理士との相性も確認してみましょう。
「質問に対してわかりやすく説明してくれるか」「こちらの事業、将来のビジョンや成長戦略について理解を示してくれるか」「レスポンスの速さと丁寧さはどうか」という点を意識しながら、期待するサポートが受けられるかどうかを判断しましょう。
もちろん、税理士費用も無視はできません。税理士事務所によって報酬体系は異なるため「どのような場合にどれほどの費用が発生するのか」をよく聞いたうえで、費用に見合ったメリットが得られると判断できた税理士に依頼を出しましょう。