確定申告の提出期間とは? 期限に遅れた場合のペナルティなど
確定申告は、一定の期間内に行わなければならないと法定されています。期限に間に合わなければペナルティが課せられることもありますので、ここで紹介する提出期間を厳守するように気を付けましょう。課されるペナルティについてもここで具体的な内容を説明していきます。
確定申告の提出期間
確定申告には所得税に関するものと消費税に関するものがあります。それぞれの確定申告の期限を把握するとともに、もしものときに備えて延長申請についても理解しておくと良いでしょう。
所得税の確定申告
フリーランスなど、個人事業主は、1年間の所得を計算して納めるべき所得税の額を毎年税務署に申告しなければなりません。
計算の対象期間は1月1日から12月31日までの1年間であり、当該期間に発生した売上から経費分を引き、さらに控除等の適用をして残った分が課税所得となります。
そして当該期間の翌年「2月16日から3月15日」までの1ヶ月間が例年の確定申告期間です。期限日が土日祝の場合は翌月曜日が期限日となります。所得税の納付期間も申告期間と同じです。
※令和元年および令和2年は、新型コロナウイルスが流行した関係から期限が延長されていた
ただ、「還付申告」(払い過ぎた税金の還付を求める申告)に関してはこのルールに従いません。申告ができる日から5年以内ならいつでも行うことができます。
消費税の確定申告
一定の要件を満たす事業者は、消費税に関する確定申告もしなければなりません。
満たすべき要件は、「前々年度の課税売上高が1,000万円以上」という内容です。
判定対象が「前々年度」の課税売上高であることから、「開業して2年以上経過していること」も実質的な要件であると言えるでしょう。
ただ、2年前に1,000万円以上の課税売上高がなくても、前年の1月1日から6月30日の半年で「課税売上高と給与等支払金額のいずれも1,000万円を超えている」のなら課税事業者となりますので留意しましょう(個人事業主の場合)。
※法人の場合は始期が1月1日とはならず、事業年度の開始月からの半年間で判定が行われる
消費税の確定申告期間は、翌年の「1月1日から3月31日」。納付期限も3月31日です。各期限日が土日祝なら翌月曜日が期限日になる点は所得税の確定申告と同じです。
災害等による期限延長申請
上で挙げた確定申告の期限は延長をすることも可能です。
「災害による申告、納付等の期限延長申請」を行えば良いのです。
ただし、災害が発生したなど「やむを得ない理由があって間に合わない」というシチュエーションでなければなりません。単に業務に追われて間に合わなかったというケースでは延長は認められません。
そこでこの延長手続を行うための申請書には、申請者の氏名や住所、電話番号を記載することはもちろん、以下の情報を載せなければなりません。
- 災害で最初に被害を受けた日
- 災害が止んだ日
- 災害の原因や種類
- 被災状況とその程度
これらを記載した申請書をもとに被災状況等が審査され、妥当と評価されれば延長が認められます。
なお当該申請書の提出期限は「やむを得ない理由が止んだあと相当の期間内」です。抽象的に定められていますので、申請が可能となったのであれば早急に対応するように心がけましょう。
確定申告の期限に遅れた場合の措置
どの税に関する確定申告にしろ、期限を過ぎてしまうとペナルティを課せられるかもしれません。期限を守らないことには以下のリスクが伴うことを理解し、毎年の申告は適正に行うようにしましょう。
無申告加算税が課される
確定申告を行わなければ、納めるべき本来の納税額にさらに「無申告加算税」が加わります。
申告期限から1ヶ月以内でかつ自主的な申告をしていれば無申告加算税は課されませんので、仮に間に合わなさそうな状況であっても早急に対応するよう努めましょう。
また、税務調査を受ける前の自主申告があれば特例として加算税を軽減してもらえることがあります。そのため加算されてしまうとしても申告をしようとする姿勢が負担を小さくするためには重要となってきます。
無申告加算税は以下の内容で予定されています。
- 税務署の指摘を受けてから申告したケース:
税額50万円までの部分に対して15%、税額50万円を超える部分に対して20%を乗じた額 - 税務署の指摘を受ける前に申告したケース:
税額に5%を乗じた額
以下の例で具体的な加算額を見てみましょう。
例)税額80万円、税務署からの指摘後に申告をした
無申告加算税 = (50万円×15%)+(30万円×20%)
= 13万5,000円
例)税額80万円、税務署からの指摘前に申告をした
無申告加算税 = 80万円×5%
= 4万円
指摘を受ける前に申告ができるかどうかで大きな差が生じることが分かります。本来納付すべき税額が大きいとその分加算額も大きくなってしまいますので気を付けましょう。
延滞税が課される
延滞をしてしまうと、借入金で言うところの利息と同じように「延滞税」が発生してしまいます。こちらは確定申告に限らず、様々な税の延滞に対し課され得るものです。前項で説明した無申告加算税とは別にさらに加算が行われます。
納税が遅れた日数分の加算がなされるのですが、複雑な計算を要するため、具体的な税額を把握するためには税理士への相談を要するでしょう。
またはこちらの国税庁のWebサイトを使って簡単にシミュレーションすることも可能です。試しに入力をしてみると良いでしょう。
青色申告特別控除が減額される
青色申告で確定申告をしている方はさらに注意しなければなりません。
なぜなら青色申告制度を利用する大きなメリットである「青色申告特別控除」の効果が小さくなってしまうからです。本来、55万円または65万円もの大きな控除が適用できるところ、確定申告の期限に間に合わないことにより10万円にまで減額される可能性があるのです。
その結果、新たに税金を支払うことになってしまったり書類の修正を求められたり、金銭的な負担に加え大きな手間も生じてしまいます。青色申告特別控除の適用により所得税の納税額がないと想定されるときでも、必ず申告を行うようにしましょう。