M&Aにかかる期間はどのくらい?各フェーズでかかる時間の目安をチェック
近年、中小企業でもM&Aを活用する例は増えています。事業承継にお困りの場合などには、選択肢の1つとして視野に入れるのも良いでしょう。
ただ、M&Aを実行するには時間がかかります。効果的に活用するためにも、何の手続きにどれくらいの期間を要するのか、スケジュール感を把握しておくことが大切です。
全体でどのくらいかかるのか
M&Aは、検討段階から最終的な取引の完了(クロージング)まで、一般的に6ヶ月から1年程度かかるといわれています。
また、これはあくまで目安であって、相手の見つかりやすさや交渉の経緯、調査で問題が発覚するかどうかによって、さらに長くなることも少なくありません。
「そのうち動けばいい」と考えていると体力・気力の面で対応が難しくなったり、交渉中に経営状況が変化して条件が悪化したりするケースもあります。そのためM&Aが視野に入った段階で、早めに検討を進めることが望まれます。
フェーズごとの期間の目安
M&Aの流れは、大きく4つの段階に分けて考えると把握しやすくなります。
- 専門家の選定と相談、意思決定
- 自社の整理と相手の探索
- 交渉・基本合意
- デューデリジェンスからのクロージング
各フェーズでどのくらいの期間を見込むべきかチェックしておきましょう。
第1段階:専門家の選定と相談、意思決定
まずはM&Aを実行するかどうかの意思決定を行うこと、そしてその相談先にもなる専門家の選定に取り組みます。
また、この初期段階で専門家やM&A仲介会社などとアドバイザリー契約や秘密保持契約の締結も行います。
初回の相談から契約締結までの期間は1ヶ月程度を目安に考えるといいですが、複数の専門家と比較検討したり、M&Aを実行するかどうかの判断に時間がかかったりすると、このフェーズだけで数ヶ月要することもあります。
ただ、信頼できる専門家をどう選ぶかも重要な検討事項ですので、焦って決めることのないようにしましょう。
第2段階:自社の整理と相手の探索
続いて、専門家と連携しながら自社の情報をまとめた企業概要書(相手候補に開示するための資料)を作成し、候補先を探していく段階へと進みます。
その作業のためにも、自社の強み・財務状況・事業の特徴などを整理しておきましょう。
並行して、専門家は候補先に社名を伏せた簡易資料(ノンネームシート)を提示し、関心を持った候補先に秘密保持契約を締結したうえで詳細情報を開示していきます。
相手探し(マッチング)は全体の中でも特に時間が読みにくい工程です。条件が合う相手がすぐに見つかる場合もありますが、数ヶ月にわたって候補先が見つからないこともあります。
そこでこのフェーズには2〜6ヶ月程度を見込んでおくのが現実的です。
第3段階:交渉・基本合意
候補先が絞られてきたら、経営者同士が直接会って話すトップ面談を行います。
経営理念や企業文化、経営者の人柄まで含め、互いによく確認するための重要な機会となるでしょう。面談を重ねたうえで条件のすり合わせを進め、基本的な合意内容を文書にまとめた「基本合意書」の締結を目指します。
この基本合意書には通常、M&Aのスキームや取引価格の目安・従業員や役員の処遇・今後のスケジュール・独占交渉権・デューデリジェンスの実施と協力義務などが盛り込まれます。
トップ面談から基本合意書締結までは1ヶ月程度を見込んでおきましょう。
第4段階:デューデリジェンスからのクロージング
基本合意後は、デューデリジェンス(DD)・最終契約・クロージングと続きます。
デューデリジェンスは「買い手が売り手の財務・法務・税務・事業実態などについて専門家を通じて詳しく調査するプロセス」を指します。事前の資料準備や調査結果を受けた再交渉まで含めると、相応の時間がかかってくるでしょう。
手続き | 期間の目安 |
|---|---|
デューデリジェンス(DD) | 基本合意から1~2ヶ月程度 |
最終契約の締結 | DDから数週間~1ヶ月程度 |
クロージング | 最終契約から1ヶ月以内が目安 |
この最終フェーズは全体で2〜4ヶ月程度を要しますが、デューデリジェンスで問題が発覚したときは条件の再交渉や追加調査が必要となりますので、期間が大きく延びることもあります。
長期化しやすいケース
M&Aに要する期間は事案により大きく異なるものです。次のような事情がある場合、標準的なスケジュールより時間がかかることを念頭に置いて取り組みましょう。
- 株主が複数おり、代表者以外の株主の整理が必要なケース
- 財務状況の把握が不十分で、決算書や各種資料の整備から始めないといけないケース
- 業種・地域・規模などの条件が特殊で、なかなか候補先が絞り込めないケース
- デューデリジェンスで簿外債務や法的リスクが発見されたケース
- 取引先や従業員への情報開示の時期や方法に慎重な調整が必要なケース
経営に参画していない株主がいるなら、M&Aの前に代表者が株式を買い取るなどして集約しておくことが望ましいとされています。所在不明の株主がいると手続きも複雑になるため、早いうちに専門家の意見も聴きながら対策を打っておきましょう。










